月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
桐杏は寧丸の横顔を見た。横から見ると、彼の鼻は高いことがわかりやすい。ほほは見るからに柔らかそうで、それはすいとんを彷彿とさせた。桐杏はそこで寧丸のあごがやや小さいことに気がつく。眉毛の太さ、鼻の高さ、唇の厚さ、そのすべてが奇跡的なものに感じる。
「この馬車の方が、かえって好都合だな」
風来念が馬車を運転すると、寧丸は桐杏の手を握って、にっこりと笑う。桐杏は彼の表情の使い分けに、ほほを赤く染めた。
昼の十二時過ぎ。馬車はバロンに隣接する町の繁華街まで来ていた。
「昼の食事にいい時間だな。あの店で弁当を買おう。桐杏もおいで」
寧丸は風来念に馬車を止めさせると、桐杏の手を取る。