月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
「寧丸さま、あの男性に夜伽者の絵を描かせるなど、認めてよかったのですか?」
桐杏は寧丸にたずねる。
「全く問題ない。実のところ、三箇は私に甘いのだ。そして、私はいつも三箇の言いつけをあまり守らずに、彼を困らせる」
「あの強面の三箇さんが——」
「それに、桐杏の存在価値が高いと思わせ、桐杏を夜伽者の立場から脱却させるにはうってつけだ。通りすがりで肖像画を描かせてほしいと頼み込まれるなど、そうそうないのだから」
「やっぱり、桐杏のような絶世の美女はまわりが放っておきませんね」
風来念が言った。
「私は自分のことを美人だとは思いません。目の大きさが左右非対称だったりと、気にしている部分がありますので。肖像画はそこも忠実に描かれるのでしょうか……」