月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 カンテラ皇国は今でこそ東と西で分断されているも、かつてはひとつの国だった。分断を機に、西カンテラ皇国の皇族は一夫多妻制となったが、東カンテラ皇国の皇族は変わらず国民と同じ一夫一妻制をとっている。よって、皇族は后をひとりしかめとることができない。


 かつて、この国の皇子で他国の女を愛し、その女とのあいだに子ができた者がいた。敵国による色仕掛けの諜報活動をおそれた当時の皇帝は、皇族が愛人を作って子を産ませることのないよう、慰み者をあてがうこととする。夜伽とは、国の軍事力を強くするために生まれた制度だ。その皇子が愛した女は東カンテラ皇国とは友好関係にある国の女だったものの、国に災いをもたらす者として、子もあわせて、秘密裏に殺されたと言う。
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