月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 その後、寧丸は屋敷へ戻ることになる。別れ際、桐杏の両手をそっと握った。


「そばにずっといてあげられなくてすまない。明日は他の夜伽者たちに話をしてくるから、ここへ来ることはできないだろう。一日にひとりの夜伽者しか会えないとなると、二日を要する――だが、会えない時も、私はいつも桐杏を心で思っているよ。どこにいても、だれといようとも、私が思うのは桐杏だけだ」


「ありがとうございます……」


 桐杏は寧丸の言葉にときめく。ただ、自分も同じ思いであるとそこで言えなかったのは、胸がいっぱいで言葉に詰まっただけでなく、ふたりの身分差を気にせずにはいられないからだ。
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