月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「……まあ、第二夜伽の女性については特に心配する必要はないだろう。問題は第一夜伽の女性だ」


 寧丸は浮かない顔で言う。


「えっ、なにかあったのですか?」


「桐杏は『泡沫女子(うたかたじょし)』という言葉を知っているか?」


「いいえ。初めて聞きました」


「泡沫女子とは、権力者に抱かれることを最大の幸福とする女性のことだ。彼女たちからすれば、夜伽者は高級娼婦より高い地位に位置づけられる。皇族がなぜ夜伽を高級娼婦に頼まないのかというと、一般男性と同じ女性を共有するのは、皇族としての立場がないと考えられているからだ」


「……」


 桐杏は性的な話にうろたえる。


「よって、泡沫女子である第一夜伽の女性にしてみれば、自分が夜伽者に選ばれたことは願ってもないことらしい。だから、皇子の私に夜伽をしなくてよいと言われても困ると」
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