月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「寧丸さまは間違ってなどいません。間違っているのは、ここでの価値観です」


 桐杏は寧丸の左手を包み込むように両手で取った。


「……あの、私が女性たちと直接会うことはできないでしょうか? 私はふたりと話してみたいです」


「夜伽者どうしで会うことは禁止されている。対面したことが露見すれば、厳しい罰が待っているのは間違いない。危険な行為だ。だが、策がないことはない」


 寧丸はそこで立ち上がる。


「協力者がいれば、なんとかなるだろう」


 桐杏に背を向け、窓の外の景色を見ながら言った。


「協力者――」


 この屋敷に、果たしてそのような人物が存在するのかと、桐杏は思う。
< 59 / 111 >

この作品をシェア

pagetop