月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 3


 翌日。桐杏は皇帝に謁見することとなった。夜伽者が玉座の間へ入るのは異例中の異例のようで、敷地内は騒然となる。


 面会の前に、役人たちが桐杏を迎えにやって来た。そこには寧丸の姿もある。ひとりの役人は縄で桐杏の両手首を縛ろうとした。


「なにをしている。これから父に会わせるのだぞ。だから、この女を罪人のように扱うなど、言語道断だ。罪人を玉座の間に入れるというのか!」


 寧丸は激昂する。役人はすぐさま縄をほどいた。桐杏は寧丸が自分の人権を守ってくれたのだと感じた。


 一向は屋敷へと向かう。玉座の間で、皇帝・畏怖羅はひじ掛けつきの椅子に座っていた。


 桐杏は彼の前に立たされる。教科書にのっていた肖像画のとおりに濃い顔立ちだが、本物は絵よりずっとおそろしい表情で、冷たい目をしていた。年齢は三十三歳の阿村と同じくらいに見える。美形であることは間違いない。
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