月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 畏怖羅の左目の斜め下には小さな入れ墨がある。それは東カンテラ皇国を象徴する模様だ。皇帝に即位した際に入れたものとされ、王である覚悟と自国への思いだと言われている。また、今は衣服で隠れて見えないが、上半身も入れ墨だらけだといううわさだ。


 桐杏は諸王の王の存在に身震いする。寧丸と違って、畏怖羅の髪の色は黒い。見た目や雰囲気の違いから、彼が寧丸の実父であるとはとても思えなかった。奥二重まぶたの寧丸に対し、畏怖羅は平行型の二重まぶたである。また、畏怖羅の輪郭は四角く、そこも寧丸と共通していなかった。


 ただ、寧丸の目を初めて見た時、優しさの中に冷たさがあることを感じている。現に、寧丸は桐杏のためならまわりを怒ったりと、途端に態度が厳しくなったりしていた。それこそが畏怖羅の遺伝子を受け継いだという証なのかもしれない。だが、寧丸が怒る時は自分のためでなく、大切な者のためで、方向性までは似なかったのだろう。
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