月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「しかし、見事なまでに美しい女だな」


「ああ、絶世の美女だ」


 室内にいる役人たちは桐杏の美貌に感心していた。


 寧丸は玉座の間にひとりの兵を連れてくる。その兵は戦の際に、右足を負傷したと言う。医師に処置してもらったものの、けがはまだ治っていないそうだ。


「女、ここにいる者たちにお前の能力を見せるのだ」


 寧丸が桐杏に言った。


「はい」


 桐杏の能力が発揮しやすいようにと、部屋の窓はすでに開けられている。桐杏は祈るように両手を合わせ、まぶたを閉じて演奏した。少しでも畏怖羅に不満をおぼえさせれば処刑との隣り合わせという緊迫感から、いつもより上手くできない。


 それでも、玉座の間には桐杏をかこうようにして風が舞い、鳥たちが入ってくる。一羽の雀は桐杏の肩にとまった。
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