月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
「なんと、平民に高等能力者がいるとは!」
「女でそのような能力があるとは、なぜだ!?」
役人たちは桐杏という存在に驚いている。その場はざわついた。
「あの女は顔からして混血のようだから、それが理由なのかもしれない」
「ああ、他国の高等能力者の血を受け継いだのだろう」
桐杏の顔のありさまだけで、役人たちは勝手に結論づける。それに異論を唱える者はだれもいなかった。
桐杏は一曲だけ演奏する。鳴っていた音がやむと、鳥たちは外の世界へと戻り、室内はしんと静まり返った。
「父上、この女は見てのとおり高等能力者なのであります」
「なんと! 足のけがが治っている!」
負傷兵は自分の足を見てびっくりする。
「見てください。このように女の奏する音楽にはけがや病気を治す効果もあります。彼女を夜伽者にしておくのは、この国の大きな損失でしょう。父上、この女をただちに医療班へと回してください」
寧丸は必死で自分の父親を説得した。