月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「ああ、私も父と同様、農作物を豊かに実らせることができる」


 桐杏も、その能力については、十二歳までに受けた教育によって知っていた。この国の皇帝となる者には昔からその能力があると(ただ、庶民のあいだだと高等能力についてはなぞが多く、皇位継承の際にその能力を与えられるという、事実と異なる説が広まっていた)。天災が起きて農作物がだめになったとしても、その能力を使えば、農作物は元に戻るらしい。東カンテラ皇国はその力によって食料自給率の高さを誇るとともに、外交と貿易を強化した。


「この国が一夫一妻制なのも、夜伽者の制度を導入したのも、特別な能力を他国へ漏らさないようにするためなのだ」


 寧丸が言う。
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