月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


 夕方。桐杏が家で食事をとっていると、だれかが開き戸を叩く。桐杏は先ほど食事を持ってきた役人で、なんらかの用事があって戻ってきたのだと予想する。


 しかし、戸を開けると、そこにいたのは別の役人だった。初め、桐杏はその人物を十二歳くらいの少年かと見紛う。身長は桐杏より五センチメートルほど低い。子どものような顔つきで、黒目がちな、くりくりとした目をしている。


 桐杏は寧丸が自分を間接的に呼んだのかと思う。皇子と夜伽者の関係を偽装するために、桐杏を屋敷に来させるかもしれないという話も出ていた。けれども、日はまだ暮れておらず、それにふさわしい時間でもない。そうでないとすれば、高等能力がある夜伽者など厄介な存在でしかないと、畏怖羅が自分を排除したくなったのではないか――桐杏に死の恐怖がよぎる。
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