月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
「お前に頼みがある」
少年は言った。
「俺の名前は風来念。今、口の中の粘膜に炎症が起きている」
「口内炎、ですか」
「ああ。だから、口の中がずっと痛くて、辛い思いをしているんだ。お前の奏でる音楽には治癒の効果があるんだろう? だから、お前の能力で俺の口内炎を治してくれないか?」
「わかりました」
桐杏はすぐに外へ出る。死刑の宣告を言い渡されなかったことに、胸を撫で下ろす。ふたりは外にある長椅子に座る。桐杏は風来念のとなりで『私を起こす愛』を演奏した。
「治った! すげえ!」
風来念は飛び跳ねてよろこぶ。そこまで感激してもらえるとは思わず、桐杏は人助けできたことにうれしさをおぼえた。