月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
「とにかく、男の集団に若い女がいると危険なんだ。桐杏は人間を超越した存在だと、偶像崇拝が起こりかねない。皇上はそれを恐れているのだと思う。だから、桐杏には人前に出るような役割を与えたくないんだろうな」
「……」
かつて、この国で愛人ができた皇子の末路を考えると、風来念の想像はあながち的外れでないと、桐杏は感じた。
風来念は桐杏をじっと見る。
「前に、カンテラ語に翻訳された西洋の幻想文学を読んだことがある。美しい王女さまが主人公なんだけれど、きっと、あの王女さまは桐杏みたいな顔なんだろうな」
うっとりとした目で言う。桐杏は「私は純粋なカンテラ人ですよ」と言葉を返そうと思ったけれど、それを言うのは野暮に感じた。風来念の中にある女性的な部分が、尊敬やあこがれの念を自分にいだいてくれているのだと。