月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
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その夜。寧丸がいつものように桐杏の家を訪ねた。
「桐杏、今日はうれしい知らせがあるぞ――ん? その雀は?」
桐杏は寧丸にピケを紹介する。ピケは人間の桐杏よりずっと早く食事用座卓の上で寝ていた。
「おお、あの時、桐杏の肩にのっていた雀か」
「私になついていて、とてもかわいいです」
「おや? 今日は食事に桃が出ていたのか」
寧丸は卓にあった桃を手にする。風来念にもらったものを、置いたままにしていた。
「ああ、はい。夕食に出ていました。明日、食べようと思って、残しておいたのです――」
桐杏は風来念のことを話したくなる気持ちを抑え、事実でないことを言う。寧丸に昼間の出来事を伝えたとして、風来念が責められることはないだろう。むしろ、桐杏をいい気持ちにさせてくれてありがとうと、彼は感謝されるに違いない。しかし、ふたりで会ったことはだれにも言わないと約束している。桐杏は寧丸の前でも守るべきと考えた。