月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
ふたりは居間に座る。
「それで、うれしい知らせとは、なにかあったのですか?」
「ああ、ここのところ、父の体調がよくないらしく、ずっと寝込んでいる。主治医が言うには、他国への遠征の際になんらかの病原体が体内に侵入して、健康障害を発症したのではないか、と。それで、めずらしい薬草を国外から入手する必要があり、治療に時間がかかっているそうだ。父が病気だと、私は割り方自由に動ける。今夜はいつもより長くそなたと過ごせるよ」
寧丸は明るい表情で喋った。
「私も寧丸さまと少しでも多く会えるのならうれしいです。しかし、皇帝の体調不良をよろこんでもいいのでしょうか」
「よいのだ。父は見たとおり頑丈な体つきだから、そう簡単に死にはしないだろう。桐杏の音楽を聴けばすぐに治るのに、そうすることをしないから長引いている。意固地は損するということを、身を持ってわかるべきだ」