月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
阿村たちは絞首刑に処せられるとのことで、全員、すでに絞縄がかけられていた。死の間際という言葉がふさわしい見かけだ。
「みんな! 政府にそむいても無謀だって、最初からわかっていたでしょう? どうしてこんなことを……」
桐杏は涙目でたずねる。
「言っただろう。『桐杏のことは、俺が必ず助ける』って」
訓出が答えた。
「この者たちはあろうことか敷地内に火を放ち、反乱を起こした! これは重罪である!」
そこへ畏怖羅が現れる。われを忘れて怒っていた。なぜか上半身を脱いでいて、うわさのとおり、腕や胴体は入れ墨でかなり黒い。カンテラ皇国は分断国家となる前から、入れ墨は反社会的な人間が入れるものとされている。反面、他人に恐怖心を植えつけるには絶大だった。