月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
「みすみす殺されに来た、大ばか者たちよ。権力に立ち向かって、歴史に名を残せるとでも思ったか。残念ながら、名もなきお前たちの愚かな行為など、この世からすぐに忘れ去られる」
処刑台に立つ島民たちに向かって、畏怖羅が言う。
「待ってくれ。殺すのは私だけにしてくれないか。他の者たちはどうか解放してやってくれ――桐杏もだ――ごほっ、ごほっ」
判大狗は咳き込みながら訴える。年寄りの彼はだれよりも衰弱していた。それでも、他者への思いやりの心を忘れない。
「お前たちの行動は実に理解に苦しむ。人間とはいざという時、自分だけが助かろうとするものではないのか?」