月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ
「桐杏、そなたの未来を恐怖に決められてはいけない。それに、なにがあろうとも、私が桐杏を守り抜くよ」
寧丸の熱い言葉に、桐杏ははっとする。寧丸は自分の親より桐杏を選ぶ、という表明でもあった。
「……そうですね。でも、寧丸さまがフルハ島に行くことを、ここの人たちは不自然に思わないでしょうか?」
「高等能力者である桐杏の出生を明らかにするために行く、ということにしよう。ただ、従者がいなければ、その許可がおりないかもしれない」
「……」
桐杏は風来念が適任なのではないかと思う。
「寧丸さま、実は――」
やむを得ないと、役人の彼と会ったことを話した。
「風来念? 悪いが、存じ上げない。私もすべての役人を把握しているわけではないからな」