月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「そち、桐杏とは会ったことも喋ったこともないと、うそをつくこともできたはずだ。なぜ、そうしなかった?」


 寧丸が風来念にたずねた。桐杏が体についた藁を自力で取りきれていないのが気になったようで、髪や背中など、代わりに払ってあげている。


「桐杏は俺の――いえ、私の口内炎を治してくれたのと、私の性的指向を笑ったりしなかったので――あれ? 皇子は夜伽者を名で呼ぶのですね」


「……」


 風来念は桐杏を優しく扱う寧丸に違和感をおぼえていた。寧丸はそんな風来念をじっと見つめる。桐杏は風来念が寧丸の前でも正直でいてくれたことがうれしかった。


「風来念、そちを信頼した上で話す。われわれに協力してほしい」


「えっ!?」


 寧丸は風来念にすべてを打ち明ける。皇帝の息子でありながら反体制であることと、桐杏に惹かれ、人目を忍んでふたりで会っていたことを。
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