月色の部屋で、第三夜伽は皇子の愛を待つ


「私が寝ている時は、風来念に見張りに立ってもらう。まあ、私が襲われることのないよう、私に抱かれるのは嫌でないと、この女にあらかじめ証言してもらうとするか」


 寧丸は桐杏の肩を抱いて、にやりと笑う。役人の前では女性を道具としか見ていない、嫌な皇子でしかない。


 桐杏は非情な皇子に苦痛をおぼえる演技をしながら、無言のままうつむく。今の自分は役人たちをしっかり欺けているのかと、それだけが心配だ。


「フルハ島の文化や風習はわかっていない部分が多く、調査は有意義でしょう。平民に高等能力者がいたという事実を見過ごすわけにもいかない。それに、その女が医療班として働くのを反対しているのは皇上だけですからね。調査次第では、皇上も気が変わるかもしれません」


 あの大男が言う。桐杏は役人たちから自分が必要とされていることが意外だった。
< 99 / 111 >

この作品をシェア

pagetop