私の生きる理由 ~君の鼓動に、永遠の愛を誓って~
「…桜介、さん」
その声を聞いた瞬間、桜介の顔がくしゃりと綻んだ。
「…やっと、呼んでくれた」
桜介は感極まったように澪音を抱き寄せた。
澪音も、もう抵抗しなかった。
恐る恐る手を回し、桜介の背中にしがみつく。
二人の胸が密着する。
ドクン、ドクン…トクン、トクン。
二つの鼓動が、雪の夜に重なり合う。
それはまるで、亡き京華が「やっと一緒になれたね」と祝福しているようなリズムだった。
「…私も、あなたを愛しています。桜介さん…ずっと、ずっと前から…」
澪音が答えた瞬間、桜介は彼女の顎をそっと持ち上げ、優しく口づけた。
冷たい雪の中で交わされるキスは、涙の味がしたが、それ以上に温かく、甘かった。
遠くでクリスマスの鐘が鳴り響く。
長い冬が終わり、二人の新しい春が始まろうとしていた。
「後のことは任せて下さい。責任をもって、俺が送り届けますので」
車の中にいる運転手に桜介が言う。
運転手はそっと振り向き、会釈をすると、そっとドアを閉めてそのまま去っていった。
二人きりになった雪の夜。
桜介は、凍えて震えている澪音の肩に、自分のカシミヤのコートをそっと羽織らせた。
「…暖かい…」
「冷えてしまっただろう。さあ、行こう」
桜介は澪音の肩を抱き歩き出した。
車に乗り走り出した桜介。
澪音は助手席に乗り黙ったまま俯いていた。
「…父さんに、会ってもらえる?」
「え?」
「もう…待てないから。また、君が遠くに行ってしまうのは耐えられない…」
「でも…」
赤信号になり車が止まると、桜介はそっと澪音の手を取った。
「父さんが何を言っても、俺は引かないよ」
「…いいの?年上の女なんて…」
「まだそれを気にしているのか?俺、澪音が年上だなんて思った事一度もないんだけど」
そう言いながら、そっと澪音の頬にキスをした桜介。
赤くなる澪音を見ると、信号が青になり、また走り出した。
とりあえず今夜は家に送り届ける事になり、桜介は天城家に向かうことに。
天城家は少し離れた一等地に建つ日本家屋のような屋敷。
分厚い塀に覆われ、門にはSPがいる。
桜介の車が到着すると、SPが出迎える。
車を停車させると、桜介が下りてきて助手席のドアを開けると澪音が下りてくる。
「…また連絡するから」
「はい…」
「遅くなりました、すみません。彼女を……よろしくお願いします」
副社長という立場でありながら、驕ることのない誠実な態度。
SPは無言で頷くと、大切な主君の娘を守るように澪音を囲み、厳重な門の中へと消えていった。


