激重シスコン皇帝は、勝ち気な姫に陥落する
ついに迎えた華燭の典
ドラゴニア帝国・皇帝ビンセントとルチアの結婚式
それはドラゴニア帝国史上、
前例のない規模。
街は朝から皇帝夫妻を祝福する旗で埋め尽くされ、
城門前には大通りいっぱいの花道。
鐘は鳴り響き、
兵士たちは儀礼服で整列、
空には祝賀の白い鳥が放たれていた。
先代までのドラゴニア帝国では、
皇帝の正妻という地位は、
その時の国際情勢で
他国の王家から姫を迎えるか、
後宮にいる妃達の中で
皇太子を産んだ者に与えられるかだった。
恋愛結婚で結ばれる皇帝と皇后は
史上初のことで、
それゆえ盛大に執り行なわれるのだ。
そしてここは新郎新婦の控室。
職人によって仕立てあげられた、
海の光を思わせる青みがかった白のロングベール。
それを纏ったルチアの姿に
ビンセントの呼吸が止まる。
「綺麗だ……」
誰にも聞こえないほど小さく、
しかし今までの人生で最も真剣な声で。
ルチアは緊張と嬉しさで胸がいっぱいになりながら、
ビンセントへと歩み寄る。
彼が差し出した手は、
以前よりずっと穏やかな温かさだった。
それはドラゴニア帝国史上、
前例のない規模。
街は朝から皇帝夫妻を祝福する旗で埋め尽くされ、
城門前には大通りいっぱいの花道。
鐘は鳴り響き、
兵士たちは儀礼服で整列、
空には祝賀の白い鳥が放たれていた。
先代までのドラゴニア帝国では、
皇帝の正妻という地位は、
その時の国際情勢で
他国の王家から姫を迎えるか、
後宮にいる妃達の中で
皇太子を産んだ者に与えられるかだった。
恋愛結婚で結ばれる皇帝と皇后は
史上初のことで、
それゆえ盛大に執り行なわれるのだ。
そしてここは新郎新婦の控室。
職人によって仕立てあげられた、
海の光を思わせる青みがかった白のロングベール。
それを纏ったルチアの姿に
ビンセントの呼吸が止まる。
「綺麗だ……」
誰にも聞こえないほど小さく、
しかし今までの人生で最も真剣な声で。
ルチアは緊張と嬉しさで胸がいっぱいになりながら、
ビンセントへと歩み寄る。
彼が差し出した手は、
以前よりずっと穏やかな温かさだった。