気まぐれヒーロー3
「憧れなんだよね、ハイジくんとケイジくん」
不審な視線を送る私に、かっちゃんは気恥ずかしそうに口を開いた。
「黒羽さんとか飛野さんとか白鷹さんもマジすげえと思うんだけどさ……ハイジくんとケイジくんは俺とタメなのに、あの人達と並べるし。喧嘩も強ェし体格だって……タッパもあるし、いつでも堂々としてるし」
語るかっちゃんの眼差しは、どこまでも誇らしげで。
まっすぐで、キラキラしていた。
本気なんだなって、その目を見ればわかる。
「俺さあ、チビじゃん。顔も女みてえだし。そのせいでガキの頃、よく母親に女装とかさせられてて……。うち三人兄弟で、俺末っ子なんだ。で、上二人が男だから余計になんだろうけど。可愛いとか言われんの、すっげえコンプレックスなんだよね」
はあっと、ため息を漏らすかっちゃん。
そっか……こんなに可愛くてキュンキュンで羨ましいなんて勝手に思ってたけど、かっちゃんだって男の子だもんね。
ちゃんと悩んでたんだ。
「それで、ちょっとでもハイジくんとケイジくんに近づきたくて」
「写真、いっぱい撮ってるんだ?」
「そう」
照れたように笑ったかっちゃんの頬が、ほんのり赤く染まる。
可愛い。
……けど、これは絶対声に出しちゃダメだ。
心の中に秘めておかねば。
かっちゃんを傷つけてしまう。
でも、動機を知って、なんか良いなって素直に思った。
憧れや理想を持つこと。
それはきっと、自分を成長させてくれる。
目標があるだけで、人は輝ける。
「素敵だね、そういうの」
「ほんと!?よかった~、ももちゃんに引かれたら立ち直れないとこだった~」
「引くわけないじゃん」
つられて私も笑っちゃって。
二人して顔を見合わせて笑った。
かっちゃんはスマホを取り出して、『Kぶらざーずこれくしょん』なるものを見せてくれた。
ちなみに『K』は風切のイニシャルだ。
画面を覗き込んだ瞬間、私は思わず固まりかけた。