気まぐれヒーロー3
透き通る朝の光がハイジの肩越しに差し込んで、その白さが視界を満たしていく。眩しさに思わず目を細めた。
森林公園の中にあるバスケットコート。
澄んだ空気と生い茂る緑に囲まれたその景色の中で、アイツの髪も負けないくらい鮮やかな新緑色をしている。
「ご、ごめん。俺、邪魔だよね!どーぞどーぞ!ちょうど体動かしたいと思ってたところだからさ」
いそいそと元の場所を譲ると、かっちゃんはコートへ向かい、ハイジが私の隣に腰を下ろした。
足をガバッと開き、背もたれに大きな体を預けながら。
「……あっちィ~」
開口一番にこぼれたその一言は、汗だくのハイジにはこれ以上ないほど似合っていたけれど。
Tシャツの胸元をつまんでパタパタと風を送り込んでいたと思ったら、突然脱ぎだそうとしたから、それはもうすごい勢いで止めに入った。
「やめてよ!こんな朝早くから!!」
「深夜ならOK?」
「NOサンキュー!」
脱ぎかけたTシャツの隙間から、割れた固そうな腹筋が目に入り、ドキッとする。
すぐに視線を他へやったものの、ハイジの目が私に向けられてるのを感じて、何とも言えない居心地の悪さに包まれた。
ハイジをまっすぐ見られないのは……昨日、ジローさんの本心に触れてしまったから。
脆さを知ってしまったから。
“お前がアイツのとこに──いっちまうんじゃないかって”
そんな、彼らしくない言葉を聞いてしまったせい。
「お前、なにノコノコ来てんだよ」
沈黙を破ったのは、ハイジだった。
その声は明らかにうんざりしていて、ため息まで混じっていた……ような気がした。