気まぐれヒーロー3
「ノコノコって……私はキノピオ派だし。赤い甲羅を、前走ってるカートがゴール目前のときにぶつけて、クラッシュしてる横を涼しい顔で追い抜かしてゴールする時の爽快感っていったらもう……!!」
「オイ待て、誰がマリオカートの話をしてる。それとお前、それは『悔しい負け方』ベスト3に入るやり方だ。今すぐ考えを改めろ」
悪いが、そんな気はさらさらない。
ジュゲムさんも黙認なのだ。
「私、飛野さんに『来てほしいところがある』って言われて連れてこられただけだよ。アンタやケイジくんがいるなんて、聞いてなかったもん。どうしてそんな言い方されなきゃいけないのよ」
そう。ハイジに文句つけられる筋合いなんてない。
私だって、飛野さんが何を見せたくてここへ連れてきたのか、本当は教えてほしいくらいなのに。
「マジどーしようもねえな、お前。だからいつまでたってもタヌキのまんまなんだよ」
「あのねえ、何イライラしてんのか知らないけど八つ当りはやめてくれる?みっともないのはアンタの方じゃない」
「あ?てめえ今何つった」
売り言葉に買い言葉。
結局、私たちはこうなる。
でも今のはどう考えても、ハイジが悪いと思う。
理由もなくキレられる身にもなってみてよ。
「まあまあお二人さん。朝から見せつけんといてーや」
いがみ合う私たちの間に、どこか間延びした声が割って入る。
「ハイジは、ももちゃんには練習してるとこ見られたくなかったんやって。いつでも余裕でいたいねん。努力してるなんて知られたら男のプライドが傷つくんやろ、わかったって」
そう言いながら、ハイジとは反対側──左に座ったケイジくん。
気づけば私は双子に挟まれていた。
「……そうなの?」
そっとハイジを見ると、ヤツは小さく舌打ちして、
「余計なこと言ってんじゃねーよ」
と、不機嫌な顔を私から背けた。