気まぐれヒーロー3
ハイジが守りたかった“男のプライド”って、何なんだろう。
試合のために練習することは、全然恥ずかしいことじゃないのに。
成功は、努力の上に成り立つものじゃない。
でも……ハイジみたいなタイプは、人前に見せるのは“完璧にこなしてみせる自分”だけで、“影で努力してる自分”は隠しておきたいのかもしれない。
プライドが高いというか、やけに自信家なこの男なら。
特にいつも見下している私には。
だけど、わかってるよ。
私のために、努力してくれてること。
『ありがとう』なんて言ったら、アンタのことだから憎たらしい言葉を返してくるの見え見えだし、せっかく守ろうとしてたプライドをもっと傷つけちゃうだろうから、言わないけれど。
「さっき聞いたんだけど、ケイジくんとハイジとジローさん、中学でバスケ部だったんだね。すっごく意外」
私は左に座るケイジくんへ、軽く笑みを浮かべながら話しかける。
「あー、克也に?バスケ部いうても、ほとんど出てなかったけどな。俺らの中学は部活強制やったから、何か入らなあかんかってん。で、やる気なかったし楽そうなんにしよって思てんけど……偶然、体育館で練習しとったバスケ部覗いた時に、えっらい上手いヤツがおってな」
ケイジくんも、笑って返してくれた。
その瞳に、今は企みの色はなくて。
ただ、懐かしい日を追いかけるようなやわらかさだけがある。
「それが、ジローちゃんやった」
彼は語る。
確かにそこにあった日々を。
あの日々を照らす、黄金色を。
他にも部員は大勢いたのに──その目には、たった一人しか映らなかったのだと。
そして、決めた。
“彼”がいるバスケ部に入ることを。
ハイジも、そうだったって。
示し合わせたわけじゃなく、後から同じ部活を選んでいたことを知った。
二人とも、誰に言われたわけでもなく──
ただ、“彼”に魅せられていた。