気まぐれヒーロー3
「わ……忘れてたぁ!?おま、この俺とのデートを忘れてただと!?マジで言ってんのか、フツーは一週間前から緊張して寝れなくなるもんだろーが!んで爪とか肌の手入れして、服悩んだり、エロい下着まで買ってバッチコイ状態にしとくんだよ!!それをお前って女は……!!」
さらにその後に、ハイジが吠えた。
っていうか、結局のところコイツの目的は『エロい下着』の部分に集約されてる気がする。
「言っときますけどね、手入れって、私にとっちゃお肌や爪より庭の手入れの方が大事なのよ。一週間前から家じゃテレビの前で寝転がっておケツかいて、ワイドショージャックだし。どんなネタでもバッチコイって感じ」
「わかった、わかったから。それ以上は頼むからやめてくれ。俺は明日、そんなオバハンコースまっしぐらな女とデートすんのかと思うと、切なさがハンパねえ……」
知ったこっちゃないね、アンタの切ないキモチなんて。
それより……どうしよう。
本当にデートのことなんて、頭の片隅にもなかった。
デート……するの?
私とハイジが!?
ハイジ、本気?
からかってるだけじゃないの?
「すーぐ二人の世界に入るー。俺のこと空気にせんとってーや」
さっきまでの威勢の良さは消え失せ、見るからに幻滅オーラを漂わせるハイジを見ていたら、横から拗ねた声が飛んできた。
また、そっちへ向く。
赤髪のたこ焼きプリンスの方へ。
左を向けば右へ、右を向けば左へ。
視線が落ち着く暇がない。
「や、ケイジくん。私は別にハイジと何も──」
「俺が言いたいんはな、ももちゃん。明日、ハイジやなくて……」
言いかける私の言葉を抑え、ケイジくんがぐっと身を寄せてくる。
私が体を強張らせるのも、お構いなしに。
そして──
「俺とデートせーへん?」
私の肩を抱いて、耳元で囁く。
低くて、妙に甘くて、ぞくりとするような艶っぽい声で。