気まぐれヒーロー3
……“女”って。
やっぱりケイジくんの目にも、ハイジと同じように私はタヌキに映ってるのかな……。
まあ、今に始まったことじゃないし、それは別にいいんだけど。
どうしてかな。
どうして……ケイジくんはいつも、わざとハイジの神経を逆撫でするような言い方をするんだろう。
小鳥がさえずり、木漏れ日に微睡みたくなるようなのどかな朝なのに。
私の両隣では、同じ顔をしたヤロウ二人がバチバチ火花を散らしてる。
「あの、さ……二人ともケンカはやめよ?ね?明日、デートなんてしなきゃ解決す──」
「うっせえ!引っ込んでろ!!」
「ひいっ!」
こ……こわっ!!
ハイジに怒鳴られた。
非常に気まずいなか、仲裁に入ろうなんて思ったのが間違いだった。
もはや存在レベルが石ころと化した私などよそに、ケイジくんが口を開く。
「お前、譲る気ないん」
「当たり前だろーが」
「ほんならしゃーないな。このままじゃラチあかんし、勝負しようや」
「勝負?……何の」
ハイジが眉をひそめたのを一瞥して、ケイジくんはすっと立ち上がる。
そして、そこらに転がっていたバスケットボールを拾い上げ──
「フリースローで」
振り向きざまに、軽くボールを放った。
どこか胸騒ぎを誘うような、あの余裕の笑みを浮かべながら。
オレンジ色のボールはふわりと弧を描き、すんなりとハイジの手の中に収まった。