気まぐれヒーロー3
“三本勝負な”
バスケットゴールから数メートル離れた白線の小さな半円の中。
そこに立つのは、ハイジ。
ボールを顔より少し高い位置に掲げ、真剣な眼差しでじっとゴールを射抜いている。
それを斜め後ろから静観している、ケイジくん。
他の少年たちもコート脇に座り込み、声も出さずに勝負を見つめていた。
私も、ただ彼らに混ざって見ているしかない。
かっちゃんは……カメラを手に、うろうろしていた。
どうやらベストアングルを探しているらしい。
目が合うと、かっちゃんは親指を立ててウインクしてきた。
『でかした!』と言いたげに。
ハテナだらけだったけど、とりあえず笑い返しておいた。
その反対側のゴールでは、タイガと飛野さんがどやどやとうるさい。
二人で練習……というより、騒いでるだけに見えるけど。
「スネ破壊キイイィック!!」
「うわっ!」
「もらったああ!!殺人シュウウゥゥット!!」
「、っ!やめろバカ!!!」
タイガがスライディングして飛野さんの足元を狙い、その勢いのまま、ボールで頭をかち割ろうとする寸前──
飛野さんはタイガの腕を掴み、直撃するスレスレで止めた。
「何考えてんだてめえは!!!」
「あんだよ、フェイントだよ。ワリィか」
「どこがフェイントだ、お前思いっきり『殺人シュート』って言ってたろ」
「どんな手使ってでも勝つ、それが勝負ってもんだろーが」
「バスケは相手ボコったりボールを凶器に使うスポーツじゃねえ!!」
むすっとして、反省の色ゼロのタイガ。
一方、バスケの練習してるだけなのに危うく殺されかけて、激怒している飛野さん。
どうやらタイガはバスケのルールを知らないらしい。
向こう側でぎゃーぎゃー言い争うエロ帝王と純情料理人から、私は視線をハイジの背中へ戻した。