気まぐれヒーロー3
「なぁ、ももちゃん」
「うひぇ!?な、なに?」
「散歩でもせーへん?今なんもすることないんやろ?」
踏み込んじゃいけないような、あの二人の空気に気を張っていたせいで──
急にケイジくんに声をかけられ、挙動不審になってしまった。
笑みを崩さない彼だけど、その目は静かに私を促していた。
まるで『話があるから付き合え』って言ってるみたいに。
歩きだしたケイジくんの後を、私はついていくしかなくて。
ちらりとハイジの方を振り返ると──
アイツは、らしくもなく物憂げに俯いていた。
いつもは熱く滾る瞳も、今だけは炎を失う。
ハイジじゃないみたいに。
私はそんなアイツから視線を戻し、ケイジくんの背を追う。
たこ焼きボールに乗る曲芸を、飛野さんに仕込まれているタイガを横目に見ながら。
バスケットコートを離れ、歩いていた──
その時。
駐車場の方向から、空気を掻き乱すような爆音が鳴り響いてきた。
朝の日差しを反射させながら、真っ黒な大型バイクが迫ってくる。
近づくにつれてスピードを落とし、轟音もなりを潜め、やがてエンジンも静かになった。
ハリウッド映画のアクションにでも出てきそうな、ゴツいバイク。
迫力が桁違いだ。
駐車場に停められたそのバイクに跨るのは、黒ずくめの服にフルフェイスのヘルメット。
見た目だけで圧がある、大柄な男。
誰かなんて──考えるまでもない。
日本人離れした、この体格。
一人しかいない。
バイクを降りた“彼”は、ヘルメットに手を添え、静かに外した。
朝日を受け、細かな光を散らすブロンドのタテガミが揺れる。
深い海みたいな青の瞳。
精悍な顔つき。
──ハレルヤさん。