気まぐれヒーロー3
あの夜もそうだったけど、彼が登場する時はいつも豪快だ。
まるで現実味がなくて、映画館のスクリーンの中にいる人物を眺めているかのような錯覚に陥ってしまう。
でも、これは現実。
ターミネーターが現代日本にやってきたわけじゃない。
いきなりライフルをぶっ放したりはしないのだ。
いや、ハレルヤさんなら本気でどこかに隠し持っててもおかしくはない。
相変わらず氷みたいに冷えた表情のまま、彼はバスケットコートの方へ歩いていく。
黒鷹の少年達が縮こまりつつ挨拶しても、ハレルヤさんは何一つ言葉を返しはしない。
それにしても……彼は何者なんだろう。
“鷹”の一員?
でも、あの人はどこかに属するよりも、独りを選ぶんじゃないのかな。
なぜ、今ここに来たのかも謎。
まさか……ハレルヤさんもこのバスケの輪に加わったり!?
いや、彼なら鉄壁の守備になること間違いなしだろうけども!!
彼が敵チームにいるだけで戦意喪失は確実だ。
足を止めて、ハレルヤさんを眺めながら、どうでもいい想像を膨らませていたら──
「ももちゃん、何してるん」
先を行っていたケイジくんに声をかけられ、私は慌てて追いかけた。
結局ハレルヤさんが何しにきたのかは、わからなかった。
もう、コートもみんなの姿も見えない。
この広大な公園には、本当に木々が立ち並ぶだけで、ちょっとした湖みたいなのものもある。
湖面には太陽の光が敷き詰められていて、キラキラして綺麗だった。
やがて自販機の並ぶ場所まで来ると、ケイジくんは立ち止まった。
スマホで決済し、迷いなくボタンを押す。
ガタン、と缶の落ちる音。
「ん」
優しげに目を細めてケイジくんが差し出してくれたのは、ミルクティー。
「あり、がとう」
私はそれを遠慮がちに受け取った。
思い出すのは、あの日の屋上でのこと。
ケイジくんはスポーツ飲料を選び、私たちは近くのベンチに横に並んで座った。