気まぐれヒーロー3

風切兄弟




「…………」



ちびちびとミルクティーを口に運ぶ私とは対照的に、ケイジくんは喉を鳴らしながら豪快に飲み干していく。

人影はまばらで、時折ジョギングしている人が横を通り過ぎるだけ。

見渡す限り緑でいっぱいのこの公園は、相変わらず穏やかだった。



「この時間やったら、まだ暑さもマシやな」



ペットボトルをベンチの端に置き、ケイジくんはぐっと伸びをしてから背もたれに寄りかかった。


「そうだね」


私も返事をしながら、胸の内では少しだけ身構える。

これから何を言われるのか。
彼は何を考えてここに私を連れてきたのか。

──そして、どうしてハイジにあんなことをしたのか。


ケイジくんは他の誰とも違う。

心の奥が霧に包まれたみたいで、近くにいると落ち着かない。
その正体の見えなさが、私を妙に不安定にさせる。



「アイツら、“蛇”と繋がっとるな」

「──え?」



独り言みたいな小さな声。

思わず聞き返すと、ケイジくんの目に鋭い光が宿った。



「あの“王子様”と、えらい気ィ強い女」



そして彼が指しているのは、田川大輔と本城咲妃。



「蛇って……もしかして、蛇狡のこと?」

「ももちゃん、聞いたん?」

「うん。黒鷹に連れて行かれた夜に……」



ハイジが言っていた。

翔桜のシンマって男が仕切っているチーム──“蛇狡”。通称、“蛇”。

関わったら、終わりだ……って。


正体なんて全然わからないけど、ハイジの言い方からすれば相当ヤバいのだけは理解できる。

そんな連中と、田川達が繋がってる?



「それ……本当なの?ケイジくん」

「たぶんな。俺らにあっこまで突っかかってきて、あんだけ平然としとるんや。バックにどデカいのがついとるとしか、考えられへん」



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