気まぐれヒーロー3



動揺で声がわずかに震えてしまう私とは対照的に、ケイジくんは落ち着き払っていた。

そして、淡々と話を続ける。


「それにあの女……どっかで見たような気すんねんなぁ。翔桜のヤツらと一緒に」


記憶をたぐるように、ケイジくんは小さく首を傾げる。


──そうだ。
私と朝美を襲ったのも、翔桜の男たちだった。

あれは本城咲妃が仕組んだ罠。

けれど、あの夜。倉庫でタイガに怯えていた彼らは、「自分たちは蛇じゃない」と口々に言っていた。



「翔桜の連中はほとんど、蛇の息がかかっとる。ももちゃんらハメようとしたヤツらは、下っ端みたいやったけどな。蛇の中でも雑魚レベルのヤツらに使われるくらいやし、蛇自体には弾かれとるはずや」



まるで心をのぞき込まれたみたいに、欲しかった答えを差し出してくるケイジくん。

あの男たちが“蛇”にも相手にされない程度の存在だ、と。


それよりも……あのあとハレルヤさんに連れていかれた彼らがどうなったのか。
気にならないと言えば嘘になるけど、想像すると背筋が冷えて、その話題には触れられなかった。



「まあ、蛇が絡んでるとなると、ももちゃんだけの問題やなくなってくるし」

「それで……みんなが出てきてくれたの?」



どうやら黒鷹と友好的な関係ではないらしい“蛇狡”の影を察したから、彼らは重い腰を上げた。

彼らが集まった裏には、そんな事情があったんだ。

……そう、だよね。



「それだけやないって、ハイジ見てたらわからん?」



きっと、私が心細そうな表情を見せてしまったから。

彼らとの絆に、不安を感じてしまったから。


ケイジくんはふっと笑ってくれた。

その瞳には、やわらかい光が浮かんでいる。



ハイジは……本気で怒ってくれた。


私を、導いてくれた。


勝てるかどうかもわからない勝負を、挑んでくれた。


全部、私のために。


ケイジくんも守ってくれた。

ジローさんも、タイガも、顔がめちゃくちゃなのをお面で隠してまで助けに来てくれた。

飛野さんも、完全に悪役の姿で駆けつけてくれて、鳴かされちゃったりもしてタイガのオモチャだった。


みんな、一生懸命やってくれた。


それは本当のことだ。



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