総長は姫を一途に溺愛する。
「……俺の姫になれ」
心臓が一瞬止まったように感じた。――え、いきなり何を言ってるの?
こんなこと、初対面の人に言われるなんて――怖い、でも……胸の奥が妙に熱い。
「え、え……?」
言葉にならない声を出し、思わず後ろに下がる。知らない人に、こんなふうに心を揺さぶられるなんて。
「俺は、誰よりもお前を守る。だから……誰にも渡さない」
低く響く声に、独占欲が混ざっているのがわかる。彼の手がそっと肩に触れた瞬間、指先から伝わる熱にぞくりとした。
「そ、そんな……」
体が硬直する。抵抗したいのに、目の前の鋭い瞳が私を逃がさない。
「嫌だと言っても構わない。だが、俺の目の前から消えるな」
囁くように言われ、少し笑ったその顔は、怖さと甘さが入り混じり、胸の奥に小さな波を立てる。
――この人、ただの先輩じゃない……
守られるどころか、心まで握られそうな気がする。独占される――少し怖いけど、心地よい。
思わず息を呑み、目をそらせない自分がいた。
――この人の「姫」になる……かもしれない。
胸の奥がじんわり熱くなる。まだ何も知らないのに、知らない先輩に心を奪われた――そんな気がした。