不器用なきみは、涙色の明日を描いていく。
第1章 不器用な私
【文化祭まであと7日!】
黒板横の掲示板に貼られた手作りのカウントダウンカレンダーが、窓から吹き込む秋風によってパラパラとめくれていく。
私、浅田遥が所属する3年2組の教室の中は、間近に迫った文化祭の準備で、やる気と熱気に包まれていた。
そんな、10月半ばの昼休み。
「ちょっと、浅田さん!」
私は、文化祭実行委員長の佐伯璃子さんに怒られていた。
「私、『赤のペンキを持ってきて』って頼んだよね? 何で青なの⁉」
佐伯さんはそう怒鳴るなり、先ほど私が持ってきた新品の青のペンキ缶を勢いよく突き返してきた。
「……っ」
謝らなきゃ。でも、つり上がった佐伯さんの目が怖くて、謝罪の言葉がすぐに出てこない。
それにくわえて教室のあちこちからは、クラスメイトたちの話し声、机をガタガタと動かす音、ビニールテープをはがすビリビリという音――すべてが大きく耳に響いて、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
黒板横の掲示板に貼られた手作りのカウントダウンカレンダーが、窓から吹き込む秋風によってパラパラとめくれていく。
私、浅田遥が所属する3年2組の教室の中は、間近に迫った文化祭の準備で、やる気と熱気に包まれていた。
そんな、10月半ばの昼休み。
「ちょっと、浅田さん!」
私は、文化祭実行委員長の佐伯璃子さんに怒られていた。
「私、『赤のペンキを持ってきて』って頼んだよね? 何で青なの⁉」
佐伯さんはそう怒鳴るなり、先ほど私が持ってきた新品の青のペンキ缶を勢いよく突き返してきた。
「……っ」
謝らなきゃ。でも、つり上がった佐伯さんの目が怖くて、謝罪の言葉がすぐに出てこない。
それにくわえて教室のあちこちからは、クラスメイトたちの話し声、机をガタガタと動かす音、ビニールテープをはがすビリビリという音――すべてが大きく耳に響いて、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。