1ヶ月だけ、君の隣で。
第五話 言えない秘密
文化祭まであと二週間。
そして、恋人“設定”の期限まであと三週間。
A組のフォトブース企画は、今日から本格的に準備が始まった。
「じゃあ背景布を貼る班と、小物作り班に分かれよー!」
班長の号令に、教室がわっと賑やかになる。
「蓮くん、こっちの班来ない?」
「写真映えする小物作るから手伝ってほしい!」
女子たちが蓮に群がるように声をかける。
その中心で、蓮は一回だけ視線を奏へ向けた。
奏は慌てて目をそらす。
(……蓮は人気者なんだから、私なんかに構ってたら変だよ)
そう思っていたのに——
「俺は奏と同じ班で」
蓮は当然のように言った。
「……また清水さん?」
「清水さん、柏見くんにくっつきすぎじゃない?」
ざわっと女子たちの不満が広がる。
「べつに私、蓮と同じじゃなくても——」
「奏がいい」
蓮は迷いも照れもなく断言した。
教室の空気が、ぴきっと張り詰める。
「やっぱりさ。
清水さんって、柏見くんに甘えてない?」
「フォトブースってみんなの企画なのに……」
小さな声が、教室のあちこちから聞こえる。
奏の心臓がぎゅっと縮まる。
その瞬間——
「甘えてないよ」
蓮が静かに言った。
穏やかなのに、刺さるような声音で。
「奏は、頼りたいときだけ頼ってる。
……それに、俺がそばにいたいだけ。
それでも、なんかある?」
教室にいた全員が、黙った。
「……っ!」
奏は思わず蓮の袖を引いて、小声で言う。
「やめて。
ほんとに……私のことで、また蓮が変に思われるから」
「気にしないって」
「私は気にするの!」
声が震えていた。
中学のときみたいに——
誰かの怒りや嫌悪の矢印が自分に向くのが、どうしても怖い。
蓮は少しの間だけ奏を見て、ふっと表情をゆるめた。
「……ごめん。
でも、奏をひとりにするのはもっと無理」
たったそれだけの言葉なのに、胸がしめつけられる。
(……期限付きの“恋人のふり”なのに)
ふりなのに、どうして蓮はこんなふうに言えるんだろう。
そして、恋人“設定”の期限まであと三週間。
A組のフォトブース企画は、今日から本格的に準備が始まった。
「じゃあ背景布を貼る班と、小物作り班に分かれよー!」
班長の号令に、教室がわっと賑やかになる。
「蓮くん、こっちの班来ない?」
「写真映えする小物作るから手伝ってほしい!」
女子たちが蓮に群がるように声をかける。
その中心で、蓮は一回だけ視線を奏へ向けた。
奏は慌てて目をそらす。
(……蓮は人気者なんだから、私なんかに構ってたら変だよ)
そう思っていたのに——
「俺は奏と同じ班で」
蓮は当然のように言った。
「……また清水さん?」
「清水さん、柏見くんにくっつきすぎじゃない?」
ざわっと女子たちの不満が広がる。
「べつに私、蓮と同じじゃなくても——」
「奏がいい」
蓮は迷いも照れもなく断言した。
教室の空気が、ぴきっと張り詰める。
「やっぱりさ。
清水さんって、柏見くんに甘えてない?」
「フォトブースってみんなの企画なのに……」
小さな声が、教室のあちこちから聞こえる。
奏の心臓がぎゅっと縮まる。
その瞬間——
「甘えてないよ」
蓮が静かに言った。
穏やかなのに、刺さるような声音で。
「奏は、頼りたいときだけ頼ってる。
……それに、俺がそばにいたいだけ。
それでも、なんかある?」
教室にいた全員が、黙った。
「……っ!」
奏は思わず蓮の袖を引いて、小声で言う。
「やめて。
ほんとに……私のことで、また蓮が変に思われるから」
「気にしないって」
「私は気にするの!」
声が震えていた。
中学のときみたいに——
誰かの怒りや嫌悪の矢印が自分に向くのが、どうしても怖い。
蓮は少しの間だけ奏を見て、ふっと表情をゆるめた。
「……ごめん。
でも、奏をひとりにするのはもっと無理」
たったそれだけの言葉なのに、胸がしめつけられる。
(……期限付きの“恋人のふり”なのに)
ふりなのに、どうして蓮はこんなふうに言えるんだろう。