星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
3 青空の星
 イベント会場は駅の北側の噴水広場、ふたりが出会った場所だ。
 フリーマーケットや屋台が並んでいたが、金曜日のせいか人は多くない。メインは土日なのだろう。

 水の止まった噴水を背に設置されたステージで、階段を観客席にしてカラオケ大会が行われていた。
 お世辞にもうまいとは言えない歌声がスピーカーから流れている。白いテントの下でパイプ椅子に座った審査員は、テーブルに頬杖をついてペンを回していた。
 観客はまばらで、鑑賞というより休憩のために座っているようだ。

「カラオケ大会に参加の方ですか? 待機場所はあちらです」
 係員の若い女性に声をかけられ、詩季は戸惑って絃斗を見た。彼もまた戸惑い、首をふる。

「違いました? すみません、楽器をお持ちのようだったので」
「紛らわしくてすみません」
 絃斗が頭を下げると、背負ったハープが一緒に揺れた。

「飛び入り参加OKなんです。よかったらいかがですか?」
 詩季と絃斗は顔を見合わせた。
「カラオケリストに載っている曲ならなんでも大丈夫ですよ! 楽器持参の方は演奏での参加もできます」

「そういうのは……」
「参加します」
 絃斗を遮って詩季が答える。

「ちょ、なんで」
「ありがとうございます! 実は参加者が少なくて困ってたんです」
 女性は嬉しそうに礼を述べた。
 平日の昼間なら少なくて当然だろうな、と詩季は思った。どうして平日にやろうと思ったのか開催者に聞いてみたい。聞く機会はないだろうけど。
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