星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
5 星が歌うとき
 コンサートの日まで、詩季はうきうきと過ごした。
 彼の音楽を生で聞ける。しかも本人からの招待で。
 それだけで、なんだか毎日が特別になり、ハープについてついてスマホで調べてみた。

 ハープについては、知らないことだらけだった。
 小さなハープでも二十万、グランドハープは百万や二百万は当たり前、中には二千万を超えるものもあるという。電子式のハープもあるのが驚きだった。

 バイオリンと同じく弦楽器である、と書いてあって驚いた。弦をこすって音を出すバイオリンなどは擦弦(さつげん)楽器、絃をはじくハープは撥弦(はつげん)楽器である。

「そんなの気にしたことなかった」
 詩季はつぶやいて、もっとスマホを見る。
 ハープの弦は張りっぱなしだからその寿命は長くない。グランドハープでも六十年ほどだ。

 起源は狩人の弓だと言われており、もっとも古いハープの記録は紀元前四千年前のエジプトらしい。
 グランドハープは四十七本の弦があり、羊の腸でできていると知って驚いた。合成繊維の弦よりもやわらかな音になるという。

 下部にペダルがとりつけられており、両足を使って操作する。このペダルで(フラット)もナチュラルも(シャープ)も表現できる。
 オーケストラではピアノと並ぶ編入楽器だ。編入楽器とは、必要なときだけ参加する楽器のことである。

 彼の演奏動画には、各国からコメントが寄せられていて、どれを見ても絶賛していた。
 どきどきしながら、彼のコンサートツアーの口コミも見てみた。

 音が輝いてる。
 ときめいた。
 かっこいい!
 そんなコメントを見るたびに、自分まで誇らしくなった。

 とある評論家がコンサートを酷評していた。親の七光り、心のこもらない演奏、などなど。
 こいつが彼を追い込んだ犯人か、と腹が立ったが、結局、彼はネットで炎上して謝罪していた。
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