星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
家に帰るときまでうきうきが止められず、足は軽かった。
帰宅してポストを見ると、DMに混じってその封筒があった。
ひっくり返して満星絃斗の名を見つけた瞬間、心臓が止まるかと思った。
靴を脱ぐのももどかしく部屋に入り、バッグを置いて封を切る。
彼女の住む市で行われる、満星絃斗のツアーチケットが入っていた。
付箋が貼ってあって「絶対楽屋に来てね!」と書かれている。
それだけだった。
それだけで胸が熱くなった。
今日はなんていい日なんだろう。
チケットを胸に抱きしめて目を閉じる。
付箋に一言なんて、手紙を書く暇もないほど忙しいのだろう。それでも彼は自分を招いてくれた。住所なんて教えてないから、場所から探しだしたに違いない。そんな手間をかけてまで送ってくれた。
彼は星だ。自分とは違う世界で輝いている。
自分は星ではない。輝けないし、置いて行かれたりもする。
だけど、と詩季は思う。
自分の足で、また歩いて行ける。少しずつ、ゆっくりだけど。
自分で輝けなくても、だからこそ星の美しさを知っている。
彼の奏でるきらきら星が耳に蘇り、瞼の裏には満天の星空が広がった。