星が歌ってくれるなら ~ハープ奏者は愛をつまびく~
「作るわ、何度でも。あなたのために」
「じゃあ僕は晩ごはんにハンバーグを作ります」
「たまねぎは私が切るわ」
「子ども扱いして。ちゃんと自分で切るから」
 絃斗は口をとがらせた。

「手を切らないでよ?」
「あなたが見張ってくれるでしょう?」
「いいわよ。コーヒーはあなたが淹れてね」
 絃斗は嬉しそうににこっと笑った。

 ふいに、噴水の水が噴き出した。
 噴水は、星に満ちた天に昇るように、大きく吹き上がる。
 絃斗はまっすぐに詩季を見つめ、それからぎゅっと抱きしめた。
 詩季がその胸に頭をもたせかけると、温かな鼓動が耳に届いた。

「知ってますか? 星って歌うんですよ」
 顔を上げると、彼は空を見上げていた。
「正確には歌じゃないんですけど。恒星のプラズマが、人の耳には聞こえない音に似たなにかを出してるんだそうです」
「星が歌う……なんだか神秘的ね」

 だけど、と彼女は思う。
 星はもっと近くにあったし、輝くような声で歌ってくれた。

 詩季はそっと目を閉じる。
 星空はひそやかにきらめき、ふたりを優しく照らし続けた。





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