月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 若く瑞々しい姿だったレオナールが次第に老いた体へと変わっていく。その光景を目のあたりにしたエリオットは声も失くして見入っていた。

 「妙なところを見せたな」
 「いや、貴重な場面を見られて光栄だ」

 エリオットと言葉を交わしながら馬車に乗り込もうとしたレオナールは、もう一度振り返り、「では、行ってくる」とだけ告げた。
 エリオットの乗った馬が先導しながら馬車が石橋を渡り、山道へと消えていく。蹄の音が遠ざかるにつれて、胸の奥に小さな不安が芽生えていく。
 風が一瞬、頬を冷たく撫でた。
< 153 / 224 >

この作品をシェア

pagetop