月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません

 霧の中、黒衣の男たちは彼女を抱え上げ、音もなく城を離れる。
 夜空には月がなく、ただ山の向こうで稲光がひときわ強く瞬いた。
 その稲光が、一瞬だけ男たちの腕輪を照らす。そこには、王家の従者だけが使う紋章、金の百合が暗く光っていた。
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