月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 その夜、城内は明るい賑わいに包まれた。
 厨房ではカーリンが腕まくりをし、料理人を半ば叱咤しながら次々と皿を運ばせ、セルジュは珍しく上機嫌で酒樽を抱え、数少ない城の者ひとりひとりに杯を配って回っていた。

 「殿下の呪いが解けたとなれば、このくらいで済ませるわけにはいきませんからね!」
 「ほらカーリン! こっちはまだ焼き上がってないぞ!」
 「もうっ、おじい様も手伝ってよ!」

 そんな掛け合いに皆が笑い、音楽が響き、暖かい灯が広間を満たしていく。
 おいしい料理に舌鼓を打ちながら、レオナールと微笑み合う。穏やかな時間を過ごしながら、エミリアは心が幸せで満ちていくのを感じていた。
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