月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
「あなたは〝静かな光〟ね」
年長の聖女たちは、そう呼んで微笑んだ。
派手な力こそ持たないが、その祈りにはたしかな温もりがあったのだ。
十三の年、聖女候補の中から正式に〝聖女位〟を授けられたとき、神殿長は王家の紋章を刻んだ書簡を手渡した。
封蝋の色は金。それは王太子妃の選定を意味するものだった。
「あなたは、神の定めにより選ばれたのです」
神殿長の声は厳かだったが、どこか誇らしげでもあった。
家族の悲願――トレンテス家の娘を王太子妃に――が果たされることを知り、家の者たちは涙を流して喜んだ。
その翌月、王太子ルーベン・アルタミラの十八歳の成人式が執り行われ、同時に婚約の発表が行われた。
神殿の庭に白百合が咲き誇る中、十三歳のエミリアは初めて王太子と対面。ルーベンは凛とした顔立ちで、陽光を受けて金の髪が輝いていた。彼の微笑みは完璧で、まるで聖画に描かれた王子そのものだった。
「お前が、聖女エミリアか」
「はい。おそばで祈ることが許されるのなら、これほど光栄なことはありません」
口元にだけ笑みを浮かべたルーベンの瞳には、どこか蔑むような色が滲む。一歩進み出た彼の仕草は優雅で王太子としての威厳を纏っているが、どこか冷ややかな距離があった。
年長の聖女たちは、そう呼んで微笑んだ。
派手な力こそ持たないが、その祈りにはたしかな温もりがあったのだ。
十三の年、聖女候補の中から正式に〝聖女位〟を授けられたとき、神殿長は王家の紋章を刻んだ書簡を手渡した。
封蝋の色は金。それは王太子妃の選定を意味するものだった。
「あなたは、神の定めにより選ばれたのです」
神殿長の声は厳かだったが、どこか誇らしげでもあった。
家族の悲願――トレンテス家の娘を王太子妃に――が果たされることを知り、家の者たちは涙を流して喜んだ。
その翌月、王太子ルーベン・アルタミラの十八歳の成人式が執り行われ、同時に婚約の発表が行われた。
神殿の庭に白百合が咲き誇る中、十三歳のエミリアは初めて王太子と対面。ルーベンは凛とした顔立ちで、陽光を受けて金の髪が輝いていた。彼の微笑みは完璧で、まるで聖画に描かれた王子そのものだった。
「お前が、聖女エミリアか」
「はい。おそばで祈ることが許されるのなら、これほど光栄なことはありません」
口元にだけ笑みを浮かべたルーベンの瞳には、どこか蔑むような色が滲む。一歩進み出た彼の仕草は優雅で王太子としての威厳を纏っているが、どこか冷ややかな距離があった。