月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
 どうして、あの光はいつもあいつを選ぶのか。
 レオナール。勉学でも剣でも魔術でも、自分がどれほど努力しても届かなかった弟。
 父はいつも彼を誇りに思い、自分を見ようとしなかった。

 『私の血を受け継いだ立派な息子よ。レオナールがいれば、この国は安泰だ』

 幼い頃、父の膝の上で褒められていたレオナールの笑顔を何度、拳を握って見ていたことか。
 レオナールはわずか十歳にして、遠い北の地で暴れる魔獣討伐の任務にあたる魔法騎士団に修行の名目で同行していた。幼いながらも強大な魔力を持つ弟は、父から大いに期待されていたのだ。

 (あいつがいたら、僕は一生日の目を見ない。父上は僕を王にするつもりはないんだ。そんなの許してたまるか。だって僕はこの国の第一王子なのだから)

 沸々と煮えたぎる憎しみは、一心にレオナールに向いていく。

 (あいつがいなくなれば……あいつさえいなければ……)

 だが、ただ命を奪うだけでは気が済まない。むしろ生きながら、地獄を味わえばいいと願った。
 その願いが叶い、レオナールが呪いに倒れたとき、ルーベンは初めて安らかに眠れた。これで将来、国の頂点に立つべき自分を脅かす者はいなくなったのだ。
 しかしルーベンの憂いは終わらない。国の定めにより、王位継承者には聖女を妻として迎える慣例があった。
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