あなたとは合わないと思っていたけれど
(まあパイロットとAI企業は関係ないか)

 納得して質問に返事をする。

「取ってないよ。彼が挨拶に来て隣に越してきたのを知ったの」

 人付き合いが好きな人が旧友に再会したら積極的に連絡を取り合うのかもしれないが、香澄はなんといってもおひとり様を好んでいる。おかげで香澄の交流範囲はともて狭かった。

「今は偶然会ったのか?」
「そうだけど、北山君のことが気になるの?」

 基本的に香澄の交友関係に口出しをしない武琉にしては珍しく、突っ込んでくる。違和感を覚えながらも正直に答えた。

「いや、ただ久しぶりに会ったと思えなくくらい仲良く見えたから」
「それは北山君が社交的で人懐っこいタイプだからかな?」

 香澄は少し首を傾げながらキッチンに入った。なぜか武琉が後から着いてくる。

(なんか今日の武琉さんは様子がおかしいかも)

 しかし変ですよとも言いづらい。何かあったのかもしれないが、踏み込むのには躊躇いがある。香澄が言葉を探していると、武琉がキッチンカウンターの上の梅酒に気が付いた。

「これは?」
「あっ、手作り梅酒なの」
「梅酒を手作りするのか……すごいな」

 武琉が目を見開き、感心したように呟く。

「出来上がったら武琉さんにもお裾分けするね」
「ああ、楽しみにしてる」

 武琉が僅かに微笑んだ。

(なんだか今日は元気がないみたい。フライト帰りだから疲れてるのかな?)
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