あなたとは合わないと思っていたけれど
武琉が報告を受けている以外のやり取りが、ふたりの間で有ったのだろうか。
(もしかしたら香澄が気を使って黙っているのか?)
香澄の口から誰かの悪口を聞いたことがない。愚痴を聞いたのは、出会ったときに聞いた結婚の強要に対する不満くらいだ。
もし早織に怒りを感じたとしても、彼女なら黙っている可能性が高い。
「武琉君、そんなに怖い顔をしないでよ。失礼なことなんてしてない。奥さんがどんな人か気になって挨拶に行っただけ。嫌なら早く紹介してくれたらよかったのに」
早織は、冤罪だ疑われるのは心外だとでも言いたそうな不満顔だが、武琉は完全には信じられなかった。
「香澄は俺の妻になったんだ。ふたりが揉めるのは望まない」
「……でも、もし揉めたらいつもみたいに私の味方をしてくれるよね? これまでずっとそうだったんだから」
たしかに武琉は、やたらとトラブルを起こす早織の尻拭いをしてきた。
「これからは違う。俺は妻の味方をする」
早織の顔色がさっと変わった。
「どうして? 奥さんよりも私の方がずっと付き合いが長いのに! 結婚したってだけでどうして奥さんが優先されるの? 私よりも奥さんが好きなの?」
「夫が妻を守るのは当たり前だろう?」
早織の顔が強張った。武琉は眉を顰めながら続ける。
「さっきも言ったが、言動と振る舞いに気をつけろ。子供の頃と違ってお互い立場が違うんだ」
「……わかった」
真剣に言い聞かせると、早織はしぶしぶながら頷いた。
武琉の胸に罪悪感がこみあげた。これほど早織に冷たくしたのは初めてだ。妹のように面倒を見ていた子を傷つけたくはない。
それでも早織の武琉への依存と執着は度を越している。ここではっきり線引きをりする必要があると思った。
香澄に対しても誠実でいたい。たとえ彼女がいない場でも。
契約結婚の妻をなぜここまで気遣うのか、自分でも不思議だ。
でも早織に、香澄と自分のどちらが好きか問われたとき、頭に浮かんだのは香澄の顔だった。
(もしかしたら香澄が気を使って黙っているのか?)
香澄の口から誰かの悪口を聞いたことがない。愚痴を聞いたのは、出会ったときに聞いた結婚の強要に対する不満くらいだ。
もし早織に怒りを感じたとしても、彼女なら黙っている可能性が高い。
「武琉君、そんなに怖い顔をしないでよ。失礼なことなんてしてない。奥さんがどんな人か気になって挨拶に行っただけ。嫌なら早く紹介してくれたらよかったのに」
早織は、冤罪だ疑われるのは心外だとでも言いたそうな不満顔だが、武琉は完全には信じられなかった。
「香澄は俺の妻になったんだ。ふたりが揉めるのは望まない」
「……でも、もし揉めたらいつもみたいに私の味方をしてくれるよね? これまでずっとそうだったんだから」
たしかに武琉は、やたらとトラブルを起こす早織の尻拭いをしてきた。
「これからは違う。俺は妻の味方をする」
早織の顔色がさっと変わった。
「どうして? 奥さんよりも私の方がずっと付き合いが長いのに! 結婚したってだけでどうして奥さんが優先されるの? 私よりも奥さんが好きなの?」
「夫が妻を守るのは当たり前だろう?」
早織の顔が強張った。武琉は眉を顰めながら続ける。
「さっきも言ったが、言動と振る舞いに気をつけろ。子供の頃と違ってお互い立場が違うんだ」
「……わかった」
真剣に言い聞かせると、早織はしぶしぶながら頷いた。
武琉の胸に罪悪感がこみあげた。これほど早織に冷たくしたのは初めてだ。妹のように面倒を見ていた子を傷つけたくはない。
それでも早織の武琉への依存と執着は度を越している。ここではっきり線引きをりする必要があると思った。
香澄に対しても誠実でいたい。たとえ彼女がいない場でも。
契約結婚の妻をなぜここまで気遣うのか、自分でも不思議だ。
でも早織に、香澄と自分のどちらが好きか問われたとき、頭に浮かんだのは香澄の顔だった。