欠けていく世界で、きみの光を見つけた
食堂の開け放たれた掃き出し窓の外からは、先に抜け出した四人の声が微かに聞こえてくる。

泰史くんの背中に揺られながら、私もその窓をまたいで外へ出た。

ひんやりした夜風が頬を撫でて、さっきまで胸に張りついていた息苦しさが、ゆっくりほどけていく。

「遅かったね!」

ひまりが振り返り、おんぶされている私を確認して、目を丸くする。

「菜由、どうしたの?」

ふうかが心配そうに駆け寄ってきたのが分かって、何か言おうとしたその前に、泰史くんが口を開いた。

「転んで足痛いって」

さっき物語調に簡単に作られた作り話の意味を、いま理解する。

みんなには言いたくないと言った私の気持ちを汲んで、自然な流れを考えてくれていたのだ。

「えっ、大丈夫なの、菜由」
「だから乗せてきた」

淡々とした言葉に、胸がきゅっとなって、無意識に回している腕に力が入った。

その様子を見ていた晴斗くんがにやっと笑って口を開く。

「ねえ、ふたりってもしかして——」
「あーはいはい黙って」

嫌な予感がする前に、ひまりがすかさず遮って、私は目を丸くした。

小学生のころ、からかわれるたびに私と泰史くんの間がぎこちなくなっていたのを、きっとひまりたちは覚えている。

ふうかも、晴斗くんをやんわり止めるように「はいはい」と目を細めた。

足場の良い場所で、そっと背中から降ろされる。

「大丈夫か」

小さく聞かれて、こくりと頷いた。

夜空を見上げても、やっぱり星はほとんど見えなかった。

暗い空の中で、かろうじて月の光だけがぼんやりと浮かんでいる。

黄色いわたがしみたいに、ふわっとした光。

きっと、みんなが見ているものとは違うけど、それでも。

「うわ、見て!あれ絶対流れ星!」
「どこだよ!」
「さっきあっちにあったって!」
「絶対嘘じゃん!」

晴斗くんとひまりが言い合って、ふうかが「まあまあ」と笑いながら間に入る。

直哉くんは、そのやりとりを見て小さく笑っている。

その全部が、にぎやかであたたかくて。
私は、知らない間に口元を緩めて笑っていた。
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