欠けていく世界で、きみの光を見つけた
長袖と半袖の制服が入り混じる、秋の放課後。

「菜由、今日はもう帰るの?」

楽譜を片付けて、音楽室を出ようとする私に、ふうかが不思議そうに声をかけた。

私はクラリネットのケースを抱え直しながら、小さく頷く。

「うん。今日はちょっとだけ早く帰ろうかなって」
「そっか。じゃあまた明日ね」

少しだけ眉を下げて、ふうかは優しく笑った。

「うん、またね」

ひらひらと手を振って、私はひとりで音楽室を出る。

合奏前の音楽室からは、チューニングの音が柔らかく重なって聞こえてきた。

ばらばらだった音が少しずつ混ざり合っていく、その賑やかな空気を背中に感じながら、私はゆっくり階段を下る。

たった一人の足音を、今日はいつもより寂しく感じていた。
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